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海外人材の力を 企業変革へ 〜グローバル拠点を活かした新規事業創出の挑戦〜(株式会社ソミックマネージメントホールディングス)

株式会社ソミックマネージメントホールディングス

グローバル経営変革推進部 特命プロジェクト室

鈴木 治 氏

創業100年超、変革への決断

自動車のダンパーや足回り部品を手掛けるソミックグループは、より安定的で持続可能な経営に向けて既存事業の成長と併せ、新規事業創出と海外展開を並行して模索している。副社長管轄のグローバル経営変革推進部では、5カ国のメンバーを採用。彼らの強みを活かし、海外での新規事業のテーマ探索のため、グローバルブリッジプログラムを実施することにした。既存事業に染まりきっていない、母国の課題解決にパッションのある人材に挑戦の機会をつくることで、彼らの感性で、新しいソミックをつくるヒントを得られると考えての試みだった。

インドネシアでの実践が生んだ“問い”と“気づき”

実践の場として選んだのはインドネシアだ。現地に工場を有しているため土地勘もあり、インドネシア人も2名日本で採用している。テックプランターや超異分野学会等、現地のコミュニティイベントに参加し、スタートアップの事業内容の理解や訪問でリアルな課題やビジネス構造を知り、最終的には2つの新規事業のアイデアとなるテーマを創出した。メンバーはMBAを取得しており、ビジネス創出の知識があるものの、実践的にソミックの次の事業機会を検討するのは初めての経験だった。具体的な課題感の抽出、スタートアップとの連携アイデアを構築するための自社のアセットや強みの理解から説得力のあるアイデアを構築することには苦労した。「事業創出は、個人のパッションに加え、自社内の様々な優先順位やインパクトなど、自社を俯瞰して理解し、社内の多くの人の協力が必要な活動です。今回の経験を通じてそれを実感してもらえたと思います」と今回のプロジェクト統括を行う鈴木治氏はいう。

挑戦の先に見えた海外展開戦略のヒント

「自動車業界は品質に対する基準が非常に高いため、アイデア段階の構想の精度によって本当に実現できるのか疑問を持ちがちです。それが社内の協力やアイデアを深める上でブレーキになってしまいがちだと感じました。どんな事業領域がフィットするのか、どんな体制が必要なのか、社内に説明するロジックも必要。まだ未知の世界ですが経験しながら少しずつ自社の戦略を整えて行きたいと思います」。今回の試みを行うことで、メンバーの育成とともに社内に新しい視点をもたらし、新規事業に必要な戦略・環境や既存部門と連携していける体制づくりの必要性も見えてきた。「海外での事業創出」と「人材育成」を両輪で推進する経験を通じて、同社の中で新しい風が吹き始めている。

(文・環野真理子)

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