
近年、自治体によるスタートアップ海外展開支援に関する相談が増えています。
「地域企業やスタートアップの海外展開を後押ししたい」
「グローバルハブとして海外との連携を強化したい」
一方で、海外展示会への出展や短期視察だけでは、具体的な事業連携や継続的な関係構築につながりにくいという課題もあります。
リバネスのGlobal Bridge Program(GBP)では、単なる“海外渡航支援”ではなく、海外で実際に事業が動く状態をつくることを目的に、自治体・地域企業・スタートアップに対する伴走支援を行っています。
本記事では、実際に自治体から寄せられる質問をもとに、リバネスのグローバル伴走支援の戦略と実践について紹介します。
目次
- なぜ今、自治体による海外展開支援が求められているのか
- 海外展開支援では、どのような成果を目指すのか
- 「海外展示会に出るだけ」で終わらせないために
- 「伴走支援」とは具体的に何をするのか
- 現地ネットワークはどのように構築しているのか
- 採択企業はどのように選定しているのか
- 自治体とともに、「地域発」のグローバル事例をつくる
1. なぜ今、自治体による海外展開支援が求められているのか
近年、多くの自治体が、
- グローバルスタートアップハブの形成
- 新産業の集積地づくり
- 地域からの技術・人材流出の防止
といったテーマを掲げ、地域企業・スタートアップの海外展開支援に取り組み始めています。
特に近年は、研究開発型スタートアップやディープテック企業において、創業初期から海外市場や海外研究機関との接続を前提に事業を構築するケースも増えてきました。
一方で、多くの自治体が次のような課題を抱えています。
- 海外展開支援をどのように設計すべきかわからない
- 海外ネットワークをどのように構築すべきかわからない
- 「視察」で終わらず成果につなげたい
- どの企業を採択すべきか悩む
- 限られた予算で成果を最大化したい
リバネスでは、こうした課題に対し、「事業創出型」の伴走支援を行っています。
2. 海外展開支援では、何をKPIに据えるべきか
海外展開支援においては、「マッチング」という言葉が広く使われています。
しかし実際には、
- 面談
- 継続協議
- 連携合意(NDA・MOU等)
では、事業の進展度合いが大きく異なります。
一方で、「マッチング件数」と言いながら、実態としては単なる面談件数になってしまっているケースも少なくありません。
そのためリバネスでは、単なる接点創出ではなく、
- NDA
- LOI
- MOU
- PoC
- 共同研究
- プロジェクトリリース
など、「外部に説明可能な成果」を重視しています。
例えば、仙台・東北エクスパンションプログラム「STEP for GROWTH」では、6か月間の伴走支援を通じて、共同研究契約合意2件、LOI・MOU3件、プロジェクトリリース2件などの成果創出につながりました。
また、リバネスでは、「海外展示会への出展」自体ではなく、「海外で実際に事業が動く状態をつくること」を重視しています。
実際に支援を受けた企業は、現地学会への参加や企業訪問を通じて、事業連携や共同研究に向けた具体的な合意形成へ進んでいます。

3. 「海外展示会に出るだけ」で終わらせないために
海外展開支援でよくある課題の一つが、「現地で名刺交換をして終わってしまう」ことです。
短期間の渡航では、
- 「まずは情報交換しましょう」
- 「日本に戻ってから検討します」
という会話で終わってしまい、その後具体的な議論につながらないケースも少なくありません。
そのためリバネスでは、現地では“検証”や“具体的な次アクションの合意”に集中できる状態を、渡航前に作ることを重視しています。
渡航前には、
- ターゲット市場の整理
- 想定顧客の明確化
- 連携候補の探索
- 英語ピッチの設計
- 商談目的の設定
- 現地仮説の構築
などを進め、「何を検証しに行くのか」を明確にします。
つまり、「海外に行きたい企業」ではなく、「海外で何を実現したいか」を考えている企業を支援対象としているのです。
4. 「伴走支援」とは具体的に何をするのか
リバネスの特徴は、“サイエンスブリッジコミュニケーター”による伴走支援です。
研究者としての専門性を持ちながら、自らもアントレプレナーとして国内外での事業創出に取り組んできたメンバーが、企業と一緒に走り回り、汗をかきながら伴走します。
また、リバネスは「サイエンスとテクノロジーをわかりやすく伝える」サイエンスブリッジコミュニケーションを生業としてきました。
そのため、支援企業に対しては、単なる英語翻訳やピッチ指導ではなく、理念や技術の強みを、相手に伝わる形で整理し、“言葉をつくる”ことに多くのエネルギーをかけています。
さらに、その作業は渡航前だけで終わるものではありません。
現地で実際にプレゼンや面談を行いながら、
- どこに反応があったか
- 何が伝わらなかったか
- どの言葉が刺さったか
を検証し、その場で伝え方を修正していきます。
時には、移動中のバスの中でもプレゼン資料を書き換えながら、次の訪問先に向けて仮説を調整していくこともあります。
こうしたコミュニケーション自体も、重要な仮説検証プロセスだと考えています。
単なるコーディネーターではなく、
- どの国の、どの機関と組むべきか
- どの市場で検証すべきか
- どの順番で関係性を構築すべきか
を一緒に考えながら、必要であれば、これまで接点のなかった現地機関もゼロから探索していきます。
支援の流れは、以下のようになります。
- 募集・選定
- 海外展開仮説の構築
- 10以上の現地連携先候補探索
- オンライン面談
- 現地渡航
- 帰国後フォロー
- 成果創出(NDA・MOU・PoC等)
- 共同研究・事業化
実際の渡航では、オンライン面談を重ねた上で、中3日程度の現地活動をベースに、
- 個別訪問
- 現地イベントでの登壇
- ポスター発表
- 大学・研究機関訪問
- スタートアップ交流
などを組み合わせながら、事業仮説を検証していきます。
また、現地で積極的に技術や研究内容を発信することで、事前には想定していなかった企業や研究者との接点が生まれることもあります。
5. 現地ネットワークはどのように構築しているのか
リバネスでは、創業期よりグローバルに事業を展開し、特に2010年以降、アジア各国で継続的に教育・人材・研究・創業応援活動を行ってきました。
現在は、
- シンガポール
- マレーシア
- フィリピン
に海外子会社を持ち、各国の大学・研究機関・政府機関・財閥・スタートアップ・アクセラレータ等とのネットワークを構築しています。
近年では、台湾や韓国など東アジア地域での活動も強化しており、台湾の国立陽明交通大学アクセラレーター IAPS とのMOU締結など、アジア各国の研究・事業創出エコシステムとの連携も進めています。
アジア地域は、日本から距離が近く時差も少ないため、行き来しやすいです。親日的な地域も多いため、日本企業にとって実証やPoC、共同研究などを進めやすい環境があります。
実際には、支援企業ごとに、
- どの国で検証するべきか
- どの研究機関や企業と接続するべきか
- どの順番で市場開拓するべきか
を検討しながら、現地ネットワークを活用していきます。

6. 支援対象企業の選び方
支援対象企業には、国内でプロトタイプ開発中の企業から、既に海外拠点を持つ企業まで幅広く含まれます。
一方で、海外展開には継続的なコミットメントが必要になるため、募集・選定段階では、単に「海外に行きたい」という意思だけではなく、
- 技術や研究の新規性
- 製品・サービスが市場投入可能な段階にあること
- 課題解決や理念実現のために海外展開を位置づけていること
- 資金調達戦略の中で海外展開を重要視していること
- 継続的に動ける体制があること
など、多面的な観点から議論を行います。
また、既に売上を持つ企業だけでなく、PoCフェーズや研究開発段階のスタートアップであっても、海外での実証や共同研究によって事業成長が期待できるケースでは支援対象となります。
さらに、自治体担当者にも面談へ同席してもらうことが可能であり、事業設計や採択理由を共有しながら進めています。
7. 自治体とともに、「地域発」のグローバル事例をつくる
リバネスではこれまで、以下のような海外展開支援事業に取り組んできました。
- 中小企業庁「販売力強化支援モデル事業」
- 大田区「区内企業と海外ベンチャーの連携創出可能性調査事業」
- NEDO「研究開発型スタートアップの海外進出支援調査プロジェクト」
- 広島県「海外スタートアップ等連携実証プロジェクト創出業務」https://hiroshima-greenocean.jp/startups/index.html
- AMEICC「スタートアップのASEAN協業促進事業」
- 京都大学IC「シンガポール拠点ローンチ関連業務」
- JETRO横浜「クリーンテック・シンガポールミッション」
- 茨城県「進出有望外国企業等とのビジネスマッチング事業」
- 仙台市「仙台グローバルスタートアップ・ハブ業務」
重要なのは、「海外へ行くこと」ではなく、
地域の技術や研究、産業特性を活かしながら、
海外と継続的な事業を生み出すことです。
そのためには、短期的な視察ではなく、
仮説構築から成果創出までを一貫して伴走する支援が必要になります。
いつでもご相談ください
リバネスでは、自治体・支援機関向けに、海外展開支援事業や海外機関連携に関する相談を受け付けています。
地域企業・スタートアップの海外展開や、地域産業のグローバル接続に関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
戦略開発事業部 秋永([email protected])